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Architectural Design

一般建築設計事例

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八面大王足湯・待合所(安曇野市)

設計:岡江建築設計研究所+CIRCLE(1級建築士事務所)

​​長野県安曇野市穂高有明7750-1
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 平成30年4月、安曇野市しゃくなげの湯周辺整備事業に伴う、新たな八面大王足湯が移転新築されました。市民により身近でありながら観光の拠点の一つとして、とりわけ北アルプスの西山山麓から安曇野を見下ろせるロケーションを生かし、開放的な足湯のレイアウトとその本来持っていた神話性を形に織り込みました。

 水の神様である龍神様に敬意を表すべく、黄金色に輝く鱗を纏った背中と四隅の手と足、幾筋もの腹の節は人と鬼の喜怒哀楽を形にした八面大王を守るように抱え込んだ姿として表現しています。また溢れ出た掛捨てのお湯は、しゃくなげの花のオブジェに向かって流れていきます。

 地域の伝説や文化の象徴性を建築の中に取り込むことが、この地で新たな存在の意味を放つことになると考えました。また地方都市の将来のあり方を考えるうえでも、過去から未来へ向かう時の流れの中で脈々と伝わってきた地域の神話性を大切にすることも、その独自性を表すことに繋がります。WHO憲章における「健康」の定義の改定案では「完全な肉体的(physical)、精神的(mental)、Spiritual及び社会的(social)福祉のDynamicな状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」と「健康」の確保において生きている意味・生きがいなどの追求が重要と考えたとのことです。
 何もかもが機能的ですべてが露になった中で暮らすことは、むしろ苦しいように思います。目に見えないものや人間にはどうしようもないものが起ったり存在することを理解し認め意識を向けることは、日々の暮らしの中で豊かに暮らすための知恵にほかありません・・・。

 一方技術面では、中房温泉から引湯された52℃の源泉を一年を通し水を使わずに常に40℃前後にする必要がありました。但し、大げさな機械やコンピュータ仕掛けではなく、自然の重力に沿った上から下へと流れるお湯と、そのルートを切り替える最小限の自動調整の仕組みから成り立っています。湯の滝と足湯床面から時たま噴き出す空気の泡は、音や見た目だけでなくこの40℃前後にお湯を保つ仕組みで、設計に関わった関係者の知恵の賜物に他なりません。尚、足湯に併設されたバス待合所は省エネ性を考慮し、特に冬場の暖房はお湯の排熱を利用しています。また地元安曇野産のサワラ板と有明石を取入、建築のトポスを具現化しています。

 尚、夕方からのライトアップされた八面大王足湯は、一番のおすすめです。東山から登るお月様を眺めながら・・・時に龍神様も現れるかもしれません。    <岡江>

事業主:   安曇野市
設計・監理: 岡江建築設計研究所+CIRCLE 岡江 正
施工者:   建築全般 株式会社 武井組
          機械設備 遠山設備工業 株式会社
          電気設備 株式会社 エーテック

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三郷スカイライントイレ(安曇野市)

設計:岡江建築設計研究所+CIRCLE(1級建築士事務所)

施工:山共建設株式会社

長野県安曇野市三郷小倉
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有明運動場トイレ(安曇野市)

設計:岡江建築設計研究所+CIRCLE(1級建築士事務所)

施工:横山建設株式会社

​長野県安曇野市穂高有明6003-1
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安曇野市立三郷南部保育園(安曇野市)

設計:岡江建築設計研究所+CIRCLE(1級建築士事務所)

施工:丸山硝子株式会社

​長野県安曇野市三郷温

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安曇野市立北穂高保育園(安曇野市)

設計:岡江建築設計研究所+CIRCLE(1級建築士事務所)

施工:株式会社 武井組

​長野県安曇野市北穂高

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佐々木会計事務所(安曇野市)

設計:岡江建築設計研究所+CIRCLE(1級建築士事務所)

施工:有限会社 岡江組

​長野県安曇野市穂高

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安曇野市穂高交流学習センター(安曇野市)

設計:JV

   岡江建築設計研究所+CIRCLE(1級建築士事務所)

   フジ設計(1級建築士事務所)

施工:建築工事     株式会社 岡谷組+山崎建設株式会社

    :電気設備工事 信濃電気設備工業+穂高電気商会

    :機械設備工事 大和ホーム工業株式会社+中部水工株式会社

​長野県安曇野市穂高

​<第10回 長野県建築文化賞>   最優秀賞 長野県知事賞(一般部門) 受賞
​<第6回 武蔵野美術大学建築学科芦原義信賞・竹山実賞>   竹山実賞 受賞
​<外観>
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​<内観>
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​<竹山実賞受賞>
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第6回竹山実建築賞を選び終えて          竹山 実

   今回の応募作は合計8点で、卒業年度1983年から2003年に及ぶ9名の卒業生の力作が寄せられました。いろいろ検討させてもらった結果、今回の受賞作は以下の2作品に絞りました。ぼくには、この2つの作品に何か共通の意味が感じられてどうしても1つに絞り切れなかったのです。
「たが山眼科クリニック」 (竹中健次君:1979 年卒業)
「安曇野穂高交流センタ- みらい」 (岡江正君:1982 年卒業)
竹中君は金沢で事務所を開き旺盛な活躍をしている人で、このコンテストのいわば常連です。毎回のように面白い作品を送ってくれます。今回は金沢市内の高台に建てられたクリニック併用住宅ですが、住まいと仕事の場を明快に分離する単純な空間構成がとても分りやすく、それが外観の手掛りになっています。なによりも最上階の居間やバルコニイからの眺めが秀逸です。それがこの作品のすべてを示しています。
一方、岡江君の作品は地元のコンペに共同作業で応募し、選ばれて実現に結び付けた仕事のようです。この種のコンペにありがちな難しい現実の問題を乗り越えて実現したのでしょうが、ここには地元の土の香りのようなもの濃く残されている点にぼくは強く惹かれました。とりわけ入口のある北側外観には単純なモチーフが生き生きと活かされていてそこに好感がもてます。ここでは広い意味を放つ暗喩が外観の下敷きになっています。この人は環境技術を豊富にもっていますが、それだけでなくこうした表現性が技術主義の上に成立しているように見えます。
いうまでもなく金沢も安曇野も日本の地方文化の拠点に位置しています。これら2つの案の共通項は、その地ならでは特異性に挑むことがその表現性のもとになっている点にあると思います。日本では地方主義が叫ばれて久しいのですが、なかなか地方のもつ特異性を文化創造のレベルに十分に活かしきれていないようです。実は「建築」がもっとも地方の特異性とかかわりを持つべきなのでしょう。方法は互いに違っていても、二人の狙いは共通していて、それぞれの表現性は賞賛に値するものだとぼくは考えました。
上記の作品以外にどうしても触れておきたい応募案がまず2 つあります。「TheBikers’ Apartment Project 」(更田邦彦君;1983 年卒業)と「境界に関する建築的考察、連作3作;コンセント、モンタージュ、スピンオフ」(小泉一斉君1996 年/千葉万由子1998 年卒業)の応募案です。前者は南側に大きなテラスを持つことで共同住居の本来の意味を取り戻したいとする作者の意図が良く伝わる作品です。後者の住宅3連作は何れも意図が明快で、その美しい空間構成に大変共感がもてます。最後に「市川新田 春日大社 神殿」(田村恭意君1994 年卒業)について一言。ここには田村君の(ぼくの知る限りの)過去の経験が充分に生かされていて、正に頭の下がる作品です。これからもますます健闘を期待します。

 

趣意書

「武蔵野美術大学建築学科 竹山実賞」

  本学名誉教授、竹山実先生の御意志のもと、先生より御芳志を賜り、武蔵野美術大学造形学部建築学科では、本年度も「武蔵野美術大学建築学科竹山実賞」を実施する運びとなりました。本賞は本学建築学科卒業生および大学院建築コース修了生の優れた建築作品に対し、先生ご自身の選定により、授与される賞です。
先生は、本学建築学科創設当時より、継続して40年にわたり建築教育を支えてこられましたが、2004年3月に退任、名誉教授になられました。専任教員に就任された当時から、学生の指導にあたられながら新鋭の建築家としてめざましく活躍され、都市の文脈に新たな刺激を与える作品群を世に問い、いまも活躍されています。一番館、二番館、晴海客船ターミナル、横浜市北部斎場などなど、それぞれの立地にかなう建築のあり方は、教えを受けた卒業生にとっても、オリジナリティ溢れる貴重な作品群です。
建築の新たな世界を開く設計を、教育の場でも問われた先生にふさわしい賞として、「武蔵野美術大学建築学科竹山実賞」が、将来の可能性ある受賞者を世に送りつづけることを願っています。


武蔵野美術大学造形学部建築学科主任 源 愛日児
武蔵野美術大学日月会 日月会会長 更田邦彦

竹山実賞受賞を振り返り     岡江 正 (岡江建築設計研究所+CIRCLE 代表)

  地方で建築を造る方法には、最新の建築雑誌やネット上の情報そして経験というデータベースの中から構築する方法と、現在の社会状況のもと、その場所に何が必要かを探る中から新たな答えを見つける方法がありそうです。我々は後者でした。最後に、竹山先生を始め多くの関係者の方々に感謝いたします。

~新しい素材が、新鮮だとは限らない~:キース・ジャレット

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